走っていたらエンジンから変な音がしだして、エンジンが止まり再始動出来なくなったとの連絡を受けました。
現場に行った者の話によると最後はとんでもない音がしてエンジンも回らなくなったとの事。
状況から考えるとこれは大きな故障だと感じました。
車両を工場までレッカーし、まずエンジンの焼き付きを確認するためクランクプーリーを回すと、あれ?クランクは回ってる?
そうなるとクランクやカムの焼き付きではなくタイミングベルトの切れかベルトの山飛びか何かか。
と言う事でタイミングベルトが見える状態まで分解を始めました。
タイミングカバーを外しタイミングベルトを見ても山はちゃんと残っています。
良く見るとベルトの張りを調整しているプーリーのベアリングがボロボロになっていました。
つまり走行中にベアリングが焼き付き固着、ベルトが緩みタイミングがズレ最後はピストンとバルブが干渉してしまっているようです。
そこでバルブの状態を確認するためエンジンよりシリンダーヘッドを取り外します。
途中の工程は割愛しまして、こちらが取り外したシリンダーヘッドです。
バルブの部分を見てみると、ピストンの上部と干渉した時に出来た傷が見られます
こちらがピストン側ですがハッキリとバルブが当たった痕が見られますね。
見た感じインテーク側もエキゾースト側もどうやらダメそうです。
そこでバルブを一つずつ取り外す作業になるわけなのですが、このエンジンは軽自動車ながら4気筒でしかも各シリンダーに4バルブ。
つまり全部で4×4の16個ものバルブを取り外さなければいけません。
しかも軽自動車用の小さなエンジンですので、部品も小さく作業は大変でした。
ようやくエキゾースト側のバルブ8個の取り外し終了。
これが取り外したバルブの一つ。
曲がっているのがわかりますかね?
あと残りの8個を取り外します。
バルブの破損を確認し部品の値段を確認し、お客様に修理の了解を取る事に。
値段を聞くと、バルブ1個が1700円。それが16本なのでバルブだけで3万近くの部品代に。
他の部品もあわせると部品代だけで約6万。
車がそれなりに古い事もありましたが、車検を受けた所だったため修理する事になりました。
数日後新しいバルブが到着し16個を組みます。
こちらがバルブを組み付けたシリンダーヘッドを組んだ状態です。
あとはこれにカムシャフトを組み付けバルブクリアランスを調整。
新品のタイミングベルト、アイドラプーリなどを組み付けて完成。
エンジンを始動し快調に回ることを確認しました。
故障した時にお客様に聞くと、実は何日か前からエンジンから変な音がしていたのはわかっていたとの話でした。
その時にアイドラプーリーのベアリングが破損しかけていたと思われます。
もし、その時点でうちに連絡してもらっていれば、バルブ交換の必要な修理には至らずにすんだものと思われます。