走行中にリヤよりコトコトというような音がするとの事で、H20年式のスバルレガシィのツーリングワゴン(BP5型)が入庫しました。
その音は常にするわけでは無く、状況によってしたりしなかったりマチマチとの事です。
一番こういう修理がやっかいで、現象が確認できないと音の出所が見つけられません。
そのため音の場所を特定するだけで、かなりの時間と労力を要してしまいます。
しかし今回の場合は、お客様が車に知識のある方で、自分でだいたいの音の出所をつきとめてもらっていました。
お客様にその音を再現してもらうと、どうやら左リヤのテールレンズが取り付けてある付近から音がするようです。
その音の出し方ですが、まず車両トランクの右側をゆすり、次に左側をゆすると「コトッ」っとも「ポコッ」っともとれるような音が聞こえます。
今度は音が出る左側だけをゆすってみますが、音は出ません。
いったん右側をゆすってから、左をゆするとやはり「コトッ」と音がしました。
音の原因は定かではありませんが、とにかく音はテールレンズ付近からしているのは間違い無さそうです。
そこでテールレンズ、リアフェンダー内張り、リアバンパーと、関係しそうなものをすべて取り外し、フレームだけのハダカ状態にしました。
これならもう音は出ないだろうと思いましたが、この状態でもまだ音は出ます。
こうなると、あとはフレーム自体に何か問題がありそうです。
そこで何度も音を確認すると、音の出所はこの穴の奥からしている事を突き止めました。
本来はこの穴にはめくらブタがしてあり中は見えません。
中をのぞくと上端にフタのようなものが見えます。
更に近づいて良くみると・・・・
このフタのようなパネルをスポット溶接するためのツバが3つありますが、写真左の2箇所がスポット止めされている形跡がありません。
そのため、このパネルを下から手を入れ押してみると、ポコポコと動くのが確認できました!
どうやら音の原因はこれだったんですね。
車体の微妙なひずみにより、このパネルが上下に動き音が出ていたようです。
スポットの打ち忘れ?と思ったのですが、反対側を確認してみると、こちらも左同様にスポット痕がありません。
だとすると、もしかしたら打ち忘れでは無く、最初から打つつもりが無かったのか・・・ん~謎です(笑)
ただ、こちらの方は手で押して見る限りは、動いていないようです。
ではどうやって固定されているのかと思い、室内側からのぞいてみると・・・
パネルをトランク内からのぞいて見た様子ですが、黒いシールがコーナーにしてあるのがわかります。
どうやらこれで固定してあるようです。
こちらが問題の方側の写真ですが、このようにコーナーにシールを打つのが本来ですが、写真に写っていない手前側、つまりスポット止めがしてない方はちゃんとコーナーにシールが出来ていませんでした。
そのために、固定が出来ずパネルが動く原因となったんですね。
原因がわかったのでさっそくこのパネルを固定する事にします。
ただ今更スポット止めは出来ないので、シール剤で固定することにしました。
下側からシール剤を全面に塗布ししっかりと固定しました。
修理後に音を確認したところ、音は出ていないようです。
走行テストでも音が止まっているのを確認し納車しました。
音の原因は、ちゃんとスポット止めをしていない、という事とシールの打ちミス、という2つのミスで起こったものでした。
今回の場合は保証期間内だったため、無償で済んで良かったのですが、これがもし修理代がかかったとしたら、お客様としたら納得いかないですよね・・・。