今回修理させていただいたのは、HM4型ホンダバモスでした。
最初にお電話で連絡いただいた時は、エンジンがかからないので見にきてほしいというもの。
自宅に出張し、私が実際にエンジンを始動を試みると、スターターも勢いよく回り普通にエンジンが始動。
お客様によると確かに何度やってもかからなかったのに、何で?との事。
車両を持ち帰り、診断機で故障コード履歴を調べるも異常コードの履歴は無し。
とりあえず摩耗ぎみだったプラグを交換し、一度納車し様子を見ていただくことに。
しかし1週間後にまた始動が出来ないとのお電話。
現場に出向きエンジンを始動してみると、やはり普通に始動してしまいました。
そこで本格的に原因を調べるためお車を預かり点検する事になりました。
この手の修理はとにかく症状が出ないと調べようが無いので、長期戦も覚悟の上でやるしかなさそうです。
案の定、症状は2~3日しても出る事が無く、これは困った事になったなぁ・・と思い、いよいよ迷宮入りかと頭を悩ませていた所、ある日突然エンジン始動不良の症状が!
このタイミングを逃してはいけない!とばかりに、とにかくこの状況でECUの異常コードを調べるため、診断機を接続しエンジンを始動!
・・・すると普通にエンジンがかかってしましました(汗
しかもその後何度も始動を試みても、いたって普通にエンジン始動、調子も全然問題ない感じです。
まじかぁ~振り出しに戻ったかぁ・・と半ばあきらめてかけていたところ、別の修理が入ったので、とりあえず一旦診断機を外し別の修理へ。
別の修理を終え、再度バモスの修理へチャレンジ。とばかりにエンジンを始動すると、今度はエンジン始動しな~い!
やった~!って直った訳じゃないんですけどね(笑
この状況を逃してはなるものかと、今回はその状態で各リレーの点検、フューエルポンプ系点検も全く異常ナシ。
またバモス、アクティ系でよくあるエンジンとボディを繋ぐアースの断線も点検しましたがそこも問題無し。
と言うことで再度診断機をつないで、再始動・・・とまたもやフツ~に始動(汗
あ!もしやこれって診断機つないだ時だけ始動できるの?と思い、診断機を外してみると、予想通りエンジン始動出来ず。
あ~なるほど。これって診断機つないだ時だけ何らかの理由で回路が成立し普通になるって事か。
そこで配線図を用意しにらめっこ開始(笑
電源系は先に点検して問題無かったので、やはりアース系が怪しい感じです。
ECUのアースを点検するも異常ナシ。
では何故?
そこで診断機を接続するデータリンクカプラへ接続されている配線をたどってみてみると、下記写真の茶/黄の配線にショートカプラーを介して繋がっている事に気づきました。
この時までECUがこんな所でもアースされている事に気づきませんでした。
他のメーカーのECUではあまり見かけないので、全然気づきませんでしたが、ホンダのPGM-FIではこんなところからもアースを取っていたんです。
修理書によると、ECUから直接配線されている黒線アースはパワーグランドという名称で、もう一つの茶黄の方がロジックグランドと分けられているみたいです。
ECUの内部でアースが2系統あるようで、今回問題があったのはロジックグランド側のアースだったみたいです。
ここのアースはどこにつながっているかというと、エンジンインテークマニホールド上部にグランドアースと共にボルト止めされていて、こことECUの間の断線が疑われます。
本来ならここの間の配線を修理するのですが、沢山の配線と共にまとめて被覆を覆い配線されているため、実際には特定の配線だけをを交換するのは不可能。
そこでECUの出口付近のロジックグラウンドアースを分岐し、ボディーアースする事で対応することにしました。
修理後は問題なくエンジンが始動できてているようで一安心です。
今回の修理は、まず最初の段階で症状がたまにしか出ず、しかも始動不良だけでエンストの症状は出ていなかった、という事で手間取りました。
我々整備士にとってトラブルシューティングにおいて「たまにしか出ない症状」が本当にやっかいです。
たまにしか出ない症状のために、非常に長い間の時間と労力を必要とする場合もよくある話です。
そう考えると早い段階で症状が常態化した事で、長期戦に至る前に完治出来た事は運に助けられた部分もありますね~
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