それでは皆さんおまたせしました。
「トヨタbB エンジンが止まったまさかの理由編」の続きです。
さてこれは何でしょうか?
もしかして例の汚いもの?!
ではありませんのでご安心を(^_^;)
これは燃料タンクの中の写真です。
ガソリンってこんな感じ?な訳がありません。
こちらが取り外したタンク内にある燃料ポンプ。
下に付いてるのがフィルターなんですが、何かすごく汚れています。
普通ガソリンは淡い透き通ったピンク色。
そうです。
エンジン始動不能の原因はガソリン(燃料)だったのです。
で、ガソリン内にある汚れた物はいったい何なのか?
それは特殊な物ではありません。
ただの水です。
水にサビが混ざってあのような茶色い濁ったようになっています。
また水は比重が大きいので、動かさずに置いておくと、ガソリンと分離し底に溜まります。
例えをあげるならドレッシング。
上に浮いているオイルがガソリンで、下にある水は醤油ですかね?
水と油分は混ざらずに分離しますよね。
それではここからは、エンジンが停止し再始動できなかったトリック?をおさらいしてみましょう。
お客様にこれまでの車の状況をヒアリングすると、数日前からちょっと加速が悪い時があったとの事。
またエンジンが停止する直前にも加速が悪くなる兆候があったそうです。
エンジンが止まった時の燃料計はE(空)より少し上。
翌日には燃料を入れるつもりだったそうです。
ここで思い出して下さい。
ドレッシングの事を。
水は下、ガソリンは上。でもドレッシングは振れば混ざります。
皆さん、わかりましたか?
車が走っている状態はドレッシングが混ざっている状態。
止まってしばらくすると、自然に分離していきます。
ここまではあくまで推測ですが、燃料が多い時にはタンク内の水とガソリンではガソリンの方が圧倒的に多く、水分の混ざった燃料を吸っても、多少の不調になってもエンジンは止まることなく走れた。
ところが燃料が少なくなると、底だまりしている水の割合の方が多くなります。
さすがの世界のトヨタ車でも、水で薄まったガソリンでは車は走りませんよねぇ~。
それで最後にはエンストし再始動不能となったのではないか、と。
しかし、ここで新たな疑問が。
ではタンクの中にこれだけの大量の水が入っている(入った)理由は?
誰かがいたずらで水を入れた?
それかスタンドで粗悪ガソリンを入れた?
いえいえ、理由はそのどちらでもありません。
真犯人はコレ。
って、どれ(笑
燃料給油口のキャップを外した状態の写真です。
丸い筒の中に緑のプラスチック製の物が見えますが、その周りが茶色く見えませんか?
パイプの内側が錆びています。
こちらが取り外した燃料パイプ。
パイプの先端すぐ下あたりが錆で腐食していて、触ったら大きな穴が空いてしまいました。
上が新品のパイプですが、本来なら口の周りには黒いプラスチック製のカバーで被われています。
そのため直接外側からこの部分を見ることが出来ず、腐食の進行が見つかりにくい原因になっていたのかもしれません。
つまりこのサビで腐食した部分に穴が空き、そこから雨水が燃料タンクに錆と共に入り込んでしまった、と言うのが真相です。
では何でこんな所が錆びるの?という理由ですが、このパイプはリアフェンダーのタイヤハウス内にむき出しで通っているというのがヒント。
長くなるので今回は答えを言いますが、雪国特有の塩害が大きく関わっていると思います。
塩害とは融雪剤により車両がサビてしまうという問題。
雪国では路面凍結を防ぐため、毎年冬になると幹線道路には融雪剤が散布されます。
このお客様は、夜勤勤務もあるため昼夜問わず、片道40Kmもの距離を通勤されておられるのです。
そのため路面にたっぷり撒かれた融雪剤を含んだ雪をかき上げ、車を走らせるのは日常茶飯事の事。
結果タイヤハウスにあるパイプが腐食したのでは?と言うのが私の推測です。
あくまで推測なので、塩害関係なしに腐りやすい構造だったという可能性もあるかもしれませんが。
さて、原因が分かった所で、いざ修理へ!
パイプはもちろん交換ですが、燃料タンクもタンク内に溜まった錆水の影響で内部に腐食がみられる事から、中古を探し交換しました。
あと汚れたポンプのフィルターも交換します。
すべての部品を交換し試運転へ。
走り始めてすぐは燃料ライン内にまだ水が残っているせいか、加速に多少の詰まりがみられました。
しかし15分程度走ると水分が抜けきったのか、エンジンは本来の調子を取り戻し、20万キロを超えた車とは思えないほど快調に走るようになりました。
オイル交換などのメンテナンスさえ怠らなければ、日本の普通車エンジンはそう簡単には壊れないものです。
10年20万キロ。まだまだいけますね~!
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