新型ハスラーデビュー!!
今朝、ニュースや新聞などでトヨタ系列ディーラーの不正車検が話題になっていました。
同じ自動車整備業界で働く者として非常に考えさせられるニュースでした。
実は私も自営で修理販売業をする前は、トヨタ系ディーラーでメカニックとして働いていた経験があります。
トヨタの自動車整備専門学校を二十歳で卒業し、ディーラーへ勤める事となったのが今から約27年前ですので、今の自動車業界を取り巻く環境は大きく違うとは思いますが、本質的には今でもその当時と変わらない事も多いんだなぁと思いました。
ネットニュースでのコメントで、現役ディーラーメカニックの方の話を聞いていると、過酷なノルマと過度の入庫による残業等、私がその当時ディーラーで働いている時と変わらない現場もあるんだなぁ、と再認識。
私が勤め始めた時代は、車検が多い月だと深夜まで残業とサービス残業は当たり前の時代でした。
今の時代、そういう事はもう現場では無くなっているのだろうと思っていましたが、今でもそういう事があるのだという事に驚いています。
あの当時は就職氷河期で、尚且つ車が好きで整備士にあこがれる若者が多い時代でしたし、整備士のなり手不足など到底考えられない時代でした。
ですからディーラーのサービス部門はいわゆる体育会系、ミスをすれば上司に怒られるなど当たり前でしたが、それでも皆頑張っていました。
また、それは当時どの業界でも当たり前の事でしたからね。
ディーラーをやめてしまった今でも、その当時の先輩や後輩とつながりがあったりして、私としては辛かった事も含めてとても良い経験をさせていただいたと思っています。
ただそれはあくまで今はディーラーに努めいていない身分の者が言える事であって、今現場でおられる方にとっては本当に大変な事なんだとニュースを見て知りました。
昔は45分車検など到底信じられない時代、今はそれがディーラーで当たり前のように行われている、それによってサービスの現場が疲弊している事は、同じ整備業界にいる者としてすぐに分かる事です。
トヨタ系ディーラーに努めていたので分かるのですが、ディーラー系と一般修理工場との大きな違いは、ディーラーは車検はもちろんそれ以外に故障などの一般修理に加え、リコールの作業をしなければいけません。
実はこのリコール修理が、内容と台数によってはかなり現場への負担をかけているのです。
リコールの内容によっては、エンジンを下ろして分解しないといけないなど、すごく時間がかかる物もあります。
またリコールは予定されていた事ではなく、予定外の仕事として現場にのしかかり、通常の業務の予定を大幅に狂わせていましまい、それが車検など必ず期日までにきないといけない業務に影響を与えます。
結果、車検業務を手短にすませたい、という意識が現場に芽生えるのは仕方ないと感じました。
当社はディーラーでは無いので、リコールは全くやらないのか、というとそうではありません。
実はトヨタ、ニッサン、マツダ以外の、スズキ、ダイハツ、ホンダ、ミツビシ、スバルなどの車は、リコール作業を当社で行えます。
それを考えると、リコールはディーラーでしか出来ない、というルールは無いのにも関わらず、トヨタは頑なに自社でのリコール作業にこだわっているように思います。
理由はディーラー現場にいた者なら少し分かると思いますがここではあえて言いませんが、その事によって現場が疲弊するぐらいなら、一般工場にリコール作業をお願いしてもいいのではないかと思います。
ディーラーのメカニックは一般のお客様から見ると、やはり私たち一般工場のメカニックより、より高度かつ丁寧な整備を行ってくれていると見られていると思います。
ただ、それはあくまでトヨタなどの看板のブランドイメージで、実際は現場にいた者からすればそれは過度なイメージだった感じていました。
もちろん今のディーラーの現役メカニックの方でも、今のお仕事にプライドを持ち技術レベルの高い方が大半だと思います。
ただ思うのは、そういう方をディーラーはもっと大切にして現場のレベルを上げ、より品質の高い修理や車検をお客様に提供する事が本当のディーラーの姿だと思います。
皆さんは45分格安車検をそんなレベルの高い整備士がされると思いますか?
そういう車検は他社の格安車検に任せるべきだったのを、過度な顧客取り込みをするために行った事が、今回のトヨタ系ディーラー不正車検につながったのだと感じました。
久々の投稿となりましたが、今回紹介するのはダイハツタントのオイル消費(減り)の修理になります。
修理させていただく事になったお車は、平成20年式ダイハツタント L375S型になり走行は9万キロ。
症状としてはオイル消費がひどく、最終的にはオイル交換後2500km時点でエンジンより異音発生、オイル残量が500mlぐらいまで減少していました。
ただ、エンジンオイルを交換すると異音は止まり、普通に走れるようになるので、通常よりオイル交換スパンを短くするか、途中でオイルを足せば走れなくない状態ではあります。
とはいえ、これでは根本解決とはならないため、思い切ってエンジンオーバーホールして修理する運びとなりました。
肝心のオイル消費の原因ですが、外部にオイルが漏れている訳ではありません。
いわゆるピルトンからのオイル上がりで、エンジンのシリンダー内にオイルが入り、燃焼時にオイルを一緒に燃やしてしまいエンジンオイルが減るという事です。
ですのでオイル消費という言い方になるのです。
で、なぜピルトンからオイルが燃焼室に入ってしまうのかと言いますと、ピストンにはいわゆる圧縮を保つための、ピストンリングと共に、シリンダー内にオイルが入るのを防いだり、シリンダー壁面の潤滑オイルを掻き出したりする役目のオイルリングがあります。
そのオイルリングの機能が不全となり、オイル消費を引き起こしてしまうのです。
ではそのオイルリングが破損したり摩耗したりするの?という事になるのですが、この車の場合は原因はそうでは無くオイルリング部にオイルスラッジが詰まり固着し、オイルリングの膨張力を奪う事により、本来のオイルリングの役目を果たせなくなる、という理由です。
前置きが長くなってしまいましたが、いよいよエンジン分解へと進みます。
上の写真はすでにエンジン分解作業が進み、後はエンジンシリンダーヘッドを下ろすだけまで進んだ物です。
こちらがすでに取り外されている、タイミングチェーンとカムシャフト類。
これまで作業内容は、長くなるので割愛させていただきます。
シリンダーヘッドが下りてようやくピルトンを拝むことが出来ました。ありがたや~(笑
ピストンヘッドを見るとそれなりにスラッジが堆積している様子が分かりますね。
そしてこちらが取り外されたピストン。
3本のリングのうち、コンロッド側にある波状になった形状に見えるのがオイルリングになります。
やはりスラッジで固まってしまって固着していました。
こちらが取り外されたピストンリングNo1とNo2、そしてオイルリングです。
オイルリングは波状リングとそれを挟むように上下に薄いリングとの3層構造になています。
オイルリングはスラッジが固まっていて取りにくい場合があるようですが、意外とすんなり外れました。
ただ、はめる時に少し苦労しました。
溝のスラッジをちゃんと除去しないと中々入らないのと、入れやすい順番があって私の場合は波状リングを先に入れてから、上下の薄いリングを後ではめました。
正式な入れる順番とかあるのかもしれませんが、その辺は修理書には書いてなかったようです。もちろんリングの切り欠きをずらすのは基本ですね。
3つのシリンダーピストンのオイルリングを交換し、今度は組み付け工程に移ります。
ピストンをシリンダーに入れる道具を久々に使うもんで、その道具を見つけるのに一苦労でした(笑
無事に組み終わり試運転して確認し、お客様に納車。
今回の修理はオイル消費なので、目に見えてどこが直ったという訳ではありませんので、結果は3000km後に分かる、という事になります。
今回のピストンリングの固着でのオイル消費ですが、オイルメンテナンスの不良が主な原因ではあるのですが、ただこの車のエンジンの場合はそれだけでは無いように感じています。
うちのお客様で同じタントのお車なんですが、年間走行が3万キロぐらい走るので、オイル交換がそれほどマメに出来てないにも関わらず、15万キロ走った時点でもオイル消費はしていませんでした。
あくまで個人の私見ですが、車にあまり乗らなくてエンジンをかける事が少ない車の方が発生しやすいのでは、と思っています。
修理に詳しいメカニックの方なら、よくご存じかと思いますが、この年式あたりのタントに限らずムーヴなど同じKFエンジンを使っていますが、実は比較的良くある事例なんですよね。
ちょっと前まで、ダイハツさんは同じ修理を延長保証でされていたと聞きます。
ちなみにダイハツさんだけではなく、ト〇タさんのエンジンでも、この辺の年式の車で同様の原因でオイル消費が頻発していました。
まぁトヨ〇さんの場合は、スラッジ関係なしに負圧でシリンダーがオイルを吸い上げるパターンのオイル上がりが多いみたいですが。
ただその場合も結局はピルトンのオイルリングを交換していたみたいですね。
そのためピストンのオイルリングに何らかの問題があるのでは?という憶測も流れましたがあくまで憶測という事で、真相は皆さんもネット上で探してみて下さい(笑
今回修理させていただいたのは、HM4型ホンダバモスでした。
最初にお電話で連絡いただいた時は、エンジンがかからないので見にきてほしいというもの。
自宅に出張し、私が実際にエンジンを始動を試みると、スターターも勢いよく回り普通にエンジンが始動。
お客様によると確かに何度やってもかからなかったのに、何で?との事。
車両を持ち帰り、診断機で故障コード履歴を調べるも異常コードの履歴は無し。
とりあえず摩耗ぎみだったプラグを交換し、一度納車し様子を見ていただくことに。
しかし1週間後にまた始動が出来ないとのお電話。
現場に出向きエンジンを始動してみると、やはり普通に始動してしまいました。
そこで本格的に原因を調べるためお車を預かり点検する事になりました。
この手の修理はとにかく症状が出ないと調べようが無いので、長期戦も覚悟の上でやるしかなさそうです。
案の定、症状は2~3日しても出る事が無く、これは困った事になったなぁ・・と思い、いよいよ迷宮入りかと頭を悩ませていた所、ある日突然エンジン始動不良の症状が!
このタイミングを逃してはいけない!とばかりに、とにかくこの状況でECUの異常コードを調べるため、診断機を接続しエンジンを始動!
・・・すると普通にエンジンがかかってしましました(汗
しかもその後何度も始動を試みても、いたって普通にエンジン始動、調子も全然問題ない感じです。
まじかぁ~振り出しに戻ったかぁ・・と半ばあきらめてかけていたところ、別の修理が入ったので、とりあえず一旦診断機を外し別の修理へ。
別の修理を終え、再度バモスの修理へチャレンジ。とばかりにエンジンを始動すると、今度はエンジン始動しな~い!
やった~!って直った訳じゃないんですけどね(笑
この状況を逃してはなるものかと、今回はその状態で各リレーの点検、フューエルポンプ系点検も全く異常ナシ。
またバモス、アクティ系でよくあるエンジンとボディを繋ぐアースの断線も点検しましたがそこも問題無し。
と言うことで再度診断機をつないで、再始動・・・とまたもやフツ~に始動(汗
あ!もしやこれって診断機つないだ時だけ始動できるの?と思い、診断機を外してみると、予想通りエンジン始動出来ず。
あ~なるほど。これって診断機つないだ時だけ何らかの理由で回路が成立し普通になるって事か。
そこで配線図を用意しにらめっこ開始(笑
電源系は先に点検して問題無かったので、やはりアース系が怪しい感じです。
ECUのアースを点検するも異常ナシ。
では何故?
そこで診断機を接続するデータリンクカプラへ接続されている配線をたどってみてみると、下記写真の茶/黄の配線にショートカプラーを介して繋がっている事に気づきました。
この時までECUがこんな所でもアースされている事に気づきませんでした。
他のメーカーのECUではあまり見かけないので、全然気づきませんでしたが、ホンダのPGM-FIではこんなところからもアースを取っていたんです。
修理書によると、ECUから直接配線されている黒線アースはパワーグランドという名称で、もう一つの茶黄の方がロジックグランドと分けられているみたいです。
ECUの内部でアースが2系統あるようで、今回問題があったのはロジックグランド側のアースだったみたいです。
ここのアースはどこにつながっているかというと、エンジンインテークマニホールド上部にグランドアースと共にボルト止めされていて、こことECUの間の断線が疑われます。
本来ならここの間の配線を修理するのですが、沢山の配線と共にまとめて被覆を覆い配線されているため、実際には特定の配線だけをを交換するのは不可能。
そこでECUの出口付近のロジックグラウンドアースを分岐し、ボディーアースする事で対応することにしました。
修理後は問題なくエンジンが始動できてているようで一安心です。
今回の修理は、まず最初の段階で症状がたまにしか出ず、しかも始動不良だけでエンストの症状は出ていなかった、という事で手間取りました。
我々整備士にとってトラブルシューティングにおいて「たまにしか出ない症状」が本当にやっかいです。
たまにしか出ない症状のために、非常に長い間の時間と労力を必要とする場合もよくある話です。
そう考えると早い段階で症状が常態化した事で、長期戦に至る前に完治出来た事は運に助けられた部分もありますね~